研究内容
膜タンパク質を搭載したウイルスレプリカの創製
天然ウイルスには、インフルエンザウイルス・コロナウイルスなどのように、キャプシドが脂質二分子膜で覆われた「エンベロープ型ウイルス」があります。我々は、天然のエンベロープ型ウイルスを模倣し、アニオン性人工ウイルスキャプシドへのカチオン性脂質二分子膜の複合化により「エンベロープ型人工ウイルスキャプシド」を創製することに成功しました。また、無細胞発現系により膜タンパク質「コネキシン」をエンベロープに搭載した「ウイルスレプリカ」を創製することにも成功しています。このコネキシン搭載ウイルスレプリカを用いて、ギャップジャンクション形成による細胞への物質輸送をすることができます。現在、コロナウイルスのスパイクタンパクや、インフルエンザウイルスのヘマグルチニンを搭載したウイルスレプリカの創製にも取り組んでいます。これにより、細胞選択的なドラッグデリバリーシステムや新しいワクチン材料の創製が期待できます。
講談社ブルーバックスWeb連載「がん治療にも使える! 化学の力でつくる「ウイルスレプリカ」」
発表論文
- Chem. Commun., 56, 7092-7095 (2020). Inside Back Cover, 日本海新聞に掲載
- RSC Chem. Biol., 3, 231-241 (2022). Front Cover
- J. Am. Chem. Soc., 145, 15838-15847 (2023). Supplementary Cover
- Sci. Rep., 13, 19934 (2023).